2016年06月29日

さだまさしさんと『広島の空』

(よろしければ当ブログの2016年6月8日付記事も、あわせてご覧ください。)

あの日から、ひと月が過ぎました。

後日、ネットの情報で知ったことことなのですが、
シンガーソングライターで長崎市ご出身のさだまさしさんも、
先月27日のバラク・オバマ米大統領の広島慰霊訪問を、
中継でご覧になっていたそうです。

「ほろほろ、ほろほろ、涙が出て止まらなかった」
「こんなに泣いたのいつ以来だろう」
「感動とか、そういう涙じゃない」
「感謝とか感激じゃない、大きな時代の転換点に立っているんだっていうことをね」
「自分がそれを目撃しているっていうことに対する、ある種のその、ふるえ、ですかね」
と、その晩のご自身の深夜番組の中でお話しされたそうです。

私も実は、同じでした。
お客さまがいらっしゃらなかったので、出るに任せるままずっと、涙ぐんでいました。

私はもちろん、さだまさしさんの長年のファンで、アルバムもいくつか愛蔵しています。
お誕生日が私と同じ「駅弁の日」だと知ってからは、ますます身近に感じています。
さださんの歌曲『驛舎(えき)』(1981年リリース)は、ほんとうに、私も好きな歌です。
その中でも2番の歌詞にある、
「口を開けば、苦しみが全て、嘘に戻るようで」
と、その後の
「泣きはらした目が、帰ってきたことが、君をもう許してる」
という部分が、ひと際、心に残ります。

さださんはその番組の中で、17歳で被爆し原爆症に苦しめられ、50年後に亡くなられた
叔母さまの言葉を紹介されていました。
「(原爆を)先に造っていたら、自分たちがほかの国に落としていたのではないか」
「戦争そのものを恨まないとだめだ」

先の当ブログ記事中(こちら)、オバマ大統領の広島でのスピーチから引用したところを
再掲載します。

「われわれは過去の過ちを繰り返す遺伝子によって縛られてはいない」
「われわれは学ぶことができる」
「われわれは選択することができる」

その続きに、次のようなお話しもありました。

「われわれは子どもたちに異なる話をすることができ、
それは共通の人間性を描き出すことであり、戦争を今より少なくなるようにすること、
残酷さを簡単に受け入れることを今よりも少なくすることである」
「われわれはこれらの話を被爆者の中に見ることができる。
ある女性は、飛行機を飛ばし原爆を投下した操縦士を許した。
本当に憎むべきなのは戦争そのものであると気付いたからだ」

 出典)
 東京新聞:オバマ大統領の広島演説(邦訳は共同通信)

これまでにも幾度となく新聞や数々のメディアで紹介されてきたお話しなので、
こうした事実はご存じの方も多いと思います。
その被爆者の女性の方が「許した」というのは、
実際に相手の操縦士の方と面会をされたうえでのことだそうです。
このほかにも、原爆計画の関係者や、終戦直後に広島、長崎の被爆地へ救援のため赴いた
若い米軍兵の中にも、誰にも言えない苦悩をかかえ生きてこられた方がいらっしゃるという
お話しも、少なからず伝えられています。

 出典)
 『トランクの中の日本 -米従軍カメラマンの非公式記録-』
 ジョー・オダネル 写真(1995年5月 小学館刊)

故郷では英雄のように称えられる行いでも、
実は(その人が信じている)「神様」の意思に背く行いだったのかもしれない。
そのような苦悩や葛藤をかかえる人が少しでも癒されるとしたら、それは誰によってなのか。
そして何よりも先に幸福を見つけなければいけないのは誰なのかと。
そういったことが問われてくるのかな、と思います。

ここでもう一曲、さだまさしさんの『広島の空』についてご紹介したいと思います。
アルバム『逢ひみての』(1993年リリース)に収録された歌で、
「広島の原爆忌の日に長崎から広島へ向かって歌う」チャリティーコンサートのテーマ曲です。
この歌の中にも、先述の原爆症で亡くなられた叔母さまの想いが込められています。
さださんはオバマ大統領の広島訪問の翌日の晩も、
生放送の深夜番組の中で『広島の空』を歌われています。
機会がありましたら、ぜひ一度聞いていただけたらと思います。

最後に、これはあくまでも私個人の意見です。

オバマ大統領の広島訪問が米国内の一部から「謝罪ツアー」と揶揄された一方で、
日本国内には、謝罪のない慰霊訪問に意味はあるのかと疑問視する声もあります。
そうした意見を否定するつもりは全くないのですが、しかし、
「誰が悪い」とか「誰が誰に謝るべき」といった議論は、不毛であるように感じます。
広島平和記念公園の慰霊碑は、そのことを悟る場でもあって欲しいと、私には思えます。
献花し、心静かに黙祷をささげ、平和を祈念することで、
誰もがこの悩ましい議論から自由になれるのだと。
私はそれで、良いのではないかと思うのです。
(注:意見には個人差があります※)

(※『問題作〜意見には個人差があります〜』 by さだまさし、より)


(当店店主は、さだまさしさんと同じ「駅弁の日」生まれです。プロフィールはこちら。)
posted by 安瑠芭夢ハウス しゃしんのポップ at 01:30| 旅のヒント