2017年10月20日

「USEN」さんの店内音楽放送で先日流れてきた美しい歌声2曲に寄せて、の続きになります

当店「しゃしんのポップ本店」ではいつも、
お客さまに店内で「USEN」さんの音楽放送をお楽しみいただいています。
できれば、状況に応じてテレビ放送も、とも考えるのですが、
実現には至っておりません。誠に申し訳ありません。

2017年10月18日(水)のお昼ごろ、
歌手の沢田知可子さんがフジテレビ系の「バイキング」(月〜金曜、午前11:55)
にVTR出演されて、沢田さんのヒット曲『会いたい』の作詞者、沢ちひろさんとの
著作者人格権をめぐる訴訟が和解したいきさつについて、明かされていたことが
分かりました。

 <ご参考>
 沢田知可子、作詞家・沢ちひろさんとの「会いたい」騒動和解の真相を明かす
 2017年10月18日付「SANSPO.COM(サンスポ)- 芸能社会 -」(こちら

沢田さんが『会いたい』の歌詞を無断で変更したことから、沢さんが沢田さん側に
対し歌唱禁止を求めた訴訟を起こしていたのですが、2015年7月に沢さん側が
訴訟を取り下げ、お2人は和解されたそうです。

 『会いたい』 | 歌 沢田知可子 | 「ORICON NEWS」より
 (発売日 1990年6月27日/作詞 沢ちひろ/作曲 財津和夫)

著作権法では、財産権としての著作権とともに、
著作者人格権についても詳細に定められています。
先日の2017年10月18日付のブログ記事でも少しだけ触れましたが、
著作権法とはどのような法律でしょう?

今は各法令を誰もが手元のスマホからネットで閲覧できる良い時代になりました。
でも専門家を自負する人は毎年本屋さんで本になった最新法令集を買われます。
私も出版社の編集部勤務時代は、ある法令集の編集を担当したことがあります。
紙はページを素早くめくりやすい丈夫で薄くしなやかな専用紙が使われています。
もちろん、どなた様もお求めになれます。

 著作権法〔抜粋〕 | 総務省行政管理局運営「e-Gov法令検索」より
 全文はこちら(無償)
  第一章 総則
   第一節 通則
 (目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
〔中略〕
  第二章 著作者の権利
〔中略〕
   第三節 権利の内容
〔中略〕
    第二款 著作者人格権
〔中略〕
 (同一性保持権)
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

沢田知可子さん側が侵害したとされたのは、沢ちひろさんの“同一性保持権”に
関してでした。“同一性保持権”とは、著作者人格権のうちの一つです。
上記の著作権法第二十条の引用をご参照ください。

しかし、著作権法の目的について定めた第一条の後半にも、ご注目ください。
「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、
もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
ここが(↑)大事です。

優れた楽曲は、特定の歌い手さんだけでなく、
世界中の多くのアーティストの方々にカバーされることが普通です。
(「会いたい」も、多くの方々にカバーされています。)
なので、そのすべてを著作者が細かくチェックすることは現実的ではありませんし、
観客と相互のコミュニケーションで成り立つともいえるライブでの即興的な演奏で
歌詞や曲のアレンジやアドリブなどを制限することが
「文化の発展」と言えるのかは疑問です。
なお、日本音楽著作権協会(JASRAC)では、主として管理楽曲の著作者財産権の
管理委託を受けています。

“同一性保持権”について突き詰めると、パロディーやモノマネ、オマージュさえ
著作者の意図に反する盗作とされ、許されなくなってしまう場合も起こりえます。
実際、どなたとは申しませんが、私の母校の大学の大先輩(巨匠級です)も、
相手を裁判で訴えたことがあります。「パロディ事件」だけで通るほど有名です。
著作者財産権、著作者人格権の両面で長年争われた、希有な訴訟事件です。
判決は出ましたが、あえてここに記す必要はないと思いますので割愛します。
和解のための判決というより、裁判を終わらせるための“まとめ”のようでした。
むやみに司法へ解決を頼るものではない、ということですね。少なくとも、
「文化の発展に寄与する」名判決は、まだ、どこからも聞かれないようです。

2017年10月18日放送のフジテレビ系の「バイキング」によると、
しばらくの間はお身内の間だけで伏せられていたそうですが、
沢ちひろさんは、訴訟を取り下げることで沢田知可子さんと和解してから
半年後の2016年2月、心不全で亡くなられたそうです。
その前に電話で仲直りできたことは、お互いにどれほど救いだったことでしょう。
関係がこじれてしまった“本当の理由”というのは、ご本人同士にしか
分からないことなのだと思います。

共同制作は、関係者の信頼関係の上に成り立ちます。その分、
信頼しているからこそ許しがたい出来事も、ときにはあるのかもしれません。
創作や表現を生業とする方々には、少しでも、新しく始める活動へ、
自らのエネルギーを注いでくださることを願っています。これからのために。

〔追記〕

最後に、簡単にですが、
沢田知可子さんの新曲、『天国ポスト』 をご紹介させていただこうと思います。
今回、作詞にも参加されたプロデューサー、寺井広樹さんの関連作品も、
あわせてご紹介させてください。

寺井広樹さんが発案された「天国ポスト」のことは、最近、初めて知りました。
皆さまはご存知でしたか?
2017年10月18日付のブログ記事でもご紹介した、川嶋あいさんの楽曲、
『Memorial Seasons』も寺井広樹さんのプロデュースで、
寺井さん原案の絵本『ぼくの天国ポスト』のイメージソングにもなっています。
寺井さんは、『Memorial Seasons』でも作詞に参加されています。

 『天国ポスト』 (「天国ポスト」テーマソング)
 歌 沢田知可子 | 「ORICON NEWS」より
 (発売日 2017年6月21日/作詞 寺井広樹・沢田知可子/作曲 沢田知可子)

 『Memorial Seasons』(絵本『ぼくの天国ポスト』イメージソング)
 歌 川嶋あい | 「ORICON NEWS」より
 (発売日 2015年10月21日/作詞 川嶋あい・寺井広樹/作曲 川嶋あい)

 「天国ポスト」公式サイト https://tengoku-post.com
  「天国ポスト」とは?(公式サイトより)
   「涙活プロデューサー寺井広樹氏が考案し 作家の志茂田景樹先生が命名。」
 関連作品 https://tengoku-post.com/#works
posted by 安瑠芭夢ハウス しゃしんのポップ at 22:49| その他