2018年05月29日

スマホ時代の写真店 企業が考えること、お店が考えること〔後編〕 アンテナショップとしての 大手・中堅写真店チェーンの役割に高まる期待

*この記事は、2018年5月6日付記事の続きです。

  真店の「失われた20年」を取りもどす
  これから先20年の道のり・・・〔中編〕より再掲載

▽【再掲載】
 総務省調べ「スマートフォン個人保有率の推移」 -世代別-
 2011年及び2012年の数値は、同調査のインターネット利用率及びインター
 ネット利用機器利用率から推計(総務省)。
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(出典)総務省 通信利用動向調査   (c)総務省

総務省によると、2015年末の世代別スマホ個人保有率は全体で56.8%に及び、
20〜30代では90%以上の人がスマホを保有するまでに普及しているそうです。
ほぼ全員とみて良いでしょう(当ブログ2018年4月28日付記事より引用)。職場の
親睦行事やお身内のご婚礼等で、カメラ係さんは必ずしもいなければ困る存在では
なくなりました。一方でお写真やビデオ映像のデータはネット上でシェアできますが、
その管理責任者や管理方法のルールを前もって決めておく必要が生じるようになり
ました。スマホやパソコンを利用できない参加者のためにお写真をプリントして配布
する場合、その代金をどう負担するかも決めておかなければなりません。30年前の
ようにカメラの持ち主が気前よく負担してくれたり、現像済みのフィルムの管理者が
自然に決まるということもないわけです。見方を変えれば、写真店側からはセールス
すべきお客さまがどなたなのかが見えにくくなってきている、ということにもなります
反面、カメラ係さんをお客さまとして写真店同士が取り合うこともなくなるのでしょう。
ネット上でシェアしているお写真のデータをスマホにダウンロードし、それを写真店で
プリント注文するかどうかは参加者の方々が各自でお決めになることになりそうです。
今のモバイルデータ通信では大量のお写真データを送受信するには一定の制約が
ありますので、近い将来商用利用が始まる大容量移動通信の5Gに対応したスマホ
の普及に期待が高まります。

先述の総務省の調査では、2015年末のスマホ個人保有率は40代では79.9%、
50代では66.0%、60代では33.4%、70代では13.1%です。20代の94.2%や
30代の90.4%と比べると60代以上の世代は積極的にスマホを活用している印象
は薄いように感じられます。しかし40〜50代では保有率が70%前後ありますから、
単純に予想してこれより10年後(2025年末)の60代は多分80%を超えるのでは
ないでしょうか。2030年以降は65才以上の高齢者の方こそ(・・・私?)、スマホを
積極的に活用する世代になっても不思議ではないように思えます。その頃にはより
進歩したスマホに代わる通信端末が主流になるのでしょうか(使いこなせるかな?)。

誰の手元にもスマホがある今、毎日のあらゆる出来事がかけがえのない記念撮影
の対象になりました。当店「安瑠芭夢家 しゃしんのポップ」でもスマホのお客さまの
ご注文で特に多いプリントがお子さまやお孫さんの普段の生活のスナップ写真です。
あるいはお散歩やちょっとしたお出かけなど。以前は荷物になるから、充電が面倒
だからと、デジカメなど家に置いてきてしまうような催しでも、スマホは大活躍します。
もちろん、お祝い事やご旅行などのお写真も多いですが、それらを上回る成長です。
フィルムカメラや「写ルンです」が全盛だった頃はご旅行等での記念写真を早く現像
に出したいとき、フィルムの残ったコマで消極的に撮りきっていたようなシーンです。
フィルムメーカーさんにとってそれは一種のボーナスでしたが、わざわざフィルムを
買ってまで撮られることはなかったお写真が、スマホではとても積極的に撮られて
いるのです。本当に幸せな時代になったと思います。社会が求めた結果でしょうね。
多分、ケータイキャリアショップや家電量販店、スマホ未対応の古くからのカメラ屋
さんなどの店員さんは、スマホユーザーの方の撮影傾向については想像できない
のではないかな? と思います。Googleさんのクラウドサービス「Google フォト」
のコンピューターなら世界一詳しいかもしれないですが、人がその内容をのぞいて
見ることはできません(当店はお客さまのプライバシー権を十分尊重いたします)。

今50代前半の方はあと数年、40代の方は十数年経たないうちに初孫のお誕生に
恵まれる方もいらっしゃることでしょう。お仕事も現役のうちはご自身のスマホで写さ
れたり、子供さん夫婦とスマホを介してシェアされているお孫さんの成長記録写真の
プリント代は、おじいちゃま、おばあちゃまがご負担できるかもしれません。ところが
ほかの子供さんもご結婚され、お孫さんの人数が増えるにつれプリント代のご負担
も、次第に辛くなってしまうかもしれません。でも、お孫さんたち全員に良く目が行き
届くのはやっぱりおじいちゃま、おばあちゃまだと思います。ご親戚の皆さまが揃う
フォトアルバムは、おじいちゃま、おばあちゃまがいらっしゃるからこそ綴って行ける
ものではないでしょうか。子供さん夫婦は、子育てやお家のことで手いっぱいになる
と思います。今はご家族それぞれがスマホで繋がることができる時代です。お写真
のプリント代やアルバムづくりのことで特定の誰かが無理しなくて済むよう、ご家族、
ご親戚の皆さまでその都度話しあえるようにできるといいですね。

これから新しくおじいちゃま、おばあちゃまになられるお客さまは、スマホもデジカメ
もパソコンもインターネットも、元もと若い頃から使い慣れていらっしゃると思います。
だからこそ、お孫さんたちのために年齢を忘れて張りきり過ぎて、アルバムづくりで
経済的にも肉体的にも、ご無理をなされないようにしていただきたいと思うのです。
私たち写真店業界がどのようなサポートをさせていただけるか、これから先20年、
真摯に向き合っていかなければいけない、最重要課題ではないかと考えています。
私見ですが、人口密集地でも独身の方や核家族の方々がお住まいの賃貸住宅が
多い大都市近郊より、ほどほど田舎で農地や漁港等もあって、お写真を撮りやすい
明るい縁側や広いお庭のあるようなご親戚皆さまが集まれる二世帯住宅の割合が
多く、大切に手入れされている先祖代々のお墓も多い土地の方が、写真店の需要
もこの先安定するように感じています。都市部のターミナル駅周辺や幹線道路沿い
など交通の要衝への出店は、大手写真店チェーンさんにお任せしたいと思います。

余談ですが、これからの時代、都市部でも地方でも空き家や空き店舗が増えると
言われています。でも、問題はその量ではなく、質だと思います。特に女性の方は
シビアに評価されますから、これからご結婚をお考えの男性諸氏は覚悟しましょう。


ここからが〔後編〕です。

  アンテナショップとしての
  大手・中堅写真店チェーンの役割に高まる期待

アンテナショップ(Antenna shop)とは、
企業や地方自治体などが自社あるいは地元の製品を広く紹介したり、
消費者の反応を探ったりする目的で開設する店舗のこと。
アンテナショップ - Wikipedia より)

つまり、富士フイルムさん直営の写真店、「WONDER PHOTO SHOP」こそは、
典型的なアンテナショップと言えるでしょう。東京の原宿は神奈川、埼玉、千葉など
隣県から鉄道が乗り入れ様々な業界、業種のアンテナショップが集まっています。

▽〔前編〕からの【再掲載】
 欧風のカフェを想わせる、東京の原宿(東京都渋谷区神宮前)にある
 富士フイルムさん直営の写真店「WONDER PHOTO SHOP」の店内。
 2014年2月オープン当事の当ブログ関連記事は、こちらをご覧ください。
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 (c)富士フイルム

 関連リンク)
  東京・原宿の富士フイルム直営写真店
  「FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP(ワンダーフォトショップ)」
  http://wonderphotoshop.jp/

「FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP」は、国内では原宿にある1軒だけですが、
同様のコンセプトを大手・中堅写真店チェーンさんも取り入れて、相互にインスパイア
し始めています。いずれも集客に有利なターミナル駅周辺や幹線道路沿いの大きな
駐車スペースが備わったショッピングセンター内など好立地にある店舗が目立ちます。

各店舗周辺の人口規模も大きいですが、何より商圏の広さに特長があると言えます。
それらの店舗を通勤、通学先で日常的にご利用になるお客さまや、地元のお客さまも
いらっしゃいますが、遠方からのお買い物のお客さまにとってのご利用は非日常的な
体験になるかもしれません。プリント受付機や商品のディスプレイは極めて重要です。

カラーフィルムの現像・プリントサービスが主流だった頃はお客さまにとっての利便性、
お店にとっての高収益性など機能性ばかりが好立地の店舗に期待されていましたが、
誰の手にもスマホがある今はアンテナショップとしての役割に期待が高まっています。

かつてフィルムを扱うお店は、目立つ看板(現像所のセールス担当さんにとって必要)
でそれと分かりましたが、今はプリントサービスに特別用のない方々にも認知していた
だく工夫が求められています。もしかすると店舗の作りは必ずしも写真屋さん然として
いなくて良いのかもしれません。入ってみたい、覗いてみたい、通うのが楽しみ、そう
思われるお店なら何屋さんでも良いのです、と言うのは極論になってしまいますが。

大手・中堅写真店チェーンの店舗の立地は、隣接する異業種の店舗との相乗効果も
重要です。いわゆるプリクラ機などの設置店、生活雑貨専門店、手芸・ホビー用素材
の専門店などがあれば、スマホ保有率の高い10代後半から30代にかけての女性の
お客さまの関心を集めやすくなると思います。利便性も高まるので喜ばれるでしょう。

大手・中堅写真店チェーンの運営会社さんや問屋さん、富士フイルムさんをはじめと
する写真関連メーカーさんは、全国レベルでお客さま方のご利用傾向などを総合的
に把握されてきたと思います。業種を問わずチェーンストアは画一的で標準化された
商品やサービスの提供ができることがセールスポイントになると思いますが、一方で
地域毎、店舗毎のお客さまの需要に応じることも求められると思います。写真店業界
も同様で、都市部や幹線道路沿いの基幹店だけでなくローカルエリアの小規模店で
得られる情報も、今後の事業に反映させて欲しいと思います。売り上げが少し減った
だけで撤退されてしまう例が当店「安瑠芭夢家 しゃしんのポップ」界隈でも近年特に
顕著なので、もったいないように感じます。当店一軒が残っても、勝ち残ったという気
にはなれません。といって当店に支店やアンテナショップを展開する体力はないです。

越生町や毛呂山町に、情報発信力の高い刺激的な大手写真店チェーンさんを誘致
する方法はないものでしょうか? 店舗の作りは必ずしも写真屋さん然としていなくて
良いので。入ってみたい、覗いてみたい、通うのが楽しみ、そう思われるお店なら何屋
さんでも良いですから。

当店一軒で地域の需要やニーズがすべて満たせるとは、もとより考えてはいません。
posted by 安瑠芭夢家 しゃしんのポップ at 02:44| 業界の話題