2019年07月21日

京都アニメーションさんの放火事件 2 (2019年8月18日追記あり)


*この記事は 2019年7月18日付記事 の続きです。

2019年7月18日午前10時半頃、京都市の「京都アニメーション」第1スタジオに火
をつけ、自らも全身に大やけどを負って入院中の41歳の男は、依然容体が重篤で、
より高度な治療を受けるため7月20日にドクターヘリで転院したと報じられています。
警察はすでに男の本名や経歴などを発表しており、逮捕状も取得したということです。

男は身柄を確保される際、警官に「(スタジオ側が)小説を盗んだ」と動機らしきことを
話したそうですが、その後は意識不明のままで動機の解明に時間がかかりそうです。

 関連リンク)
  『日本経済新聞』 2019年7月19日付記事
  身柄確保の男「小説盗んだから放火」 京都アニメ火災
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47519310Z10C19A7AM1000/
〔前略〕
府警によると、男は捜査員に身柄を確保された際、「小説を盗んだから放火した」などと話したという。周辺住民も「いつもパクリやがって。あいつらが悪い」と男が話す様子を目撃していた。府警は京都アニメーションに恨みを募らせていた疑いもあるとみている。

出典)上記、『日本経済新聞』 2019年7月19日付記事より抜粋。

今朝の7月21日付「読売新聞オンライン」記事によると周辺住民の方への取材から、
男は身柄を確保された際、警官にかかえられながら、自分が作った小説を盗まれた
から社長に話しがあるということを繰り返し訴えていたことが分かったそうです。なお、
京都アニメーションさんの本社は京都市の第1スタジオとは別に、宇治市にあります。
(2019年7月30日再調査の結果容疑者の本名での応募があったと報じられました。)

 関連リンク)
  『読売新聞オンライン』 2019年7月21日付記事
  青葉容疑者、警官に抱きかかえられ「社長を呼べ」 : 国内 : 
  https://www.yomiuri.co.jp/national/20190721-OYT1T50135/

 関連リンク) 2019年7月30日追記
  『日本経済新聞』 2019年7月30日 19:21 付記事
  京アニ放火事件 容疑者と同姓同名人物から小説の応募

もちろん京都アニメーション(以降、京アニ)さんが盗作をするはずはなく、男が自作
の小説をアニメ原作の公募も兼ねた同社主催の大賞に応募した形跡もないとのこと
です。これは憶測に過ぎないのですが「小説を盗んだ」というのは後からつけた都合
でしかない気もします。マスコミは男の生い立ちも報じていますが、中学、高校時代
の生活は、京アニさんが描いてこられたアニメの世界の学園生活からは、はるかに
遠く過酷なものだったようです。小説は読むことを望む人に伝える表現ですが、その
世界が絵になれば、アニメで表現されれば、目に入るだけで心に焼きつく場合もあり
ます。たとえ番組や映画の予告CMであっても。それほどに京アニさんのアニメ作品
の表現力は、見る人の気持ちに寄り添う、精巧で緻密で繊細な、素晴らしい仕上がり
なのです。すべての登場人物の生き方が、迷いや悩み、葛藤をかかえながらも肯定
されて行く。とても残念なことですが、容疑者の男にとっては、その何もかもが抹殺の
対象だったのかもしれません。だから今私たちがここで失望や悲しみの淵に陥れば、
男の犯罪は成功してしまいます(それとも小説の盗作は被害妄想なのでしょうか?)。

これまでの報道によると警察は男に「精神的な疾患があるとの情報を把握している」
と発表しています。精神鑑定も予想されますが、「生命に重篤な状態」とのことです。

 関連リンク)
  『日本経済新聞』 2019年7月19日付記事
  身柄確保の男、近隣トラブルも 京都アニメ火災
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47538740Z10C19A7AC8000/
〔前略〕
全身をやけどしており、入院して治療中だが「生命に重篤な状態」という。
逮捕状取得前の氏名公表は極めて異例だが、(京都府警の)西山課長は「事案の重大性を鑑みた」と説明した。また「精神的な疾患があるとの情報を把握している」とも述べた。
〔後略〕

出典)上記、『日本経済新聞』 2019年7月19日付記事より抜粋。

裁判が公平、公正かつ速やかに進められることが望まれますが、容疑者の容体にも
よるでしょう。京アニさんの作品はもとより、日本のアニメ作品は以前から評価が高く、
世界中の人々に愛されています。今回の事件も世界各地で報じられ、裁判の行方に
関心も集まるでしょう。言うまでもなく日本には日本の司法があり尊重されるべきです
が、世界には国や地域により極刑を廃した所もあれば、日本では懲役や罰金で済む
罪が極刑の判決を受けたり、関係者が連帯責任を問われる所もあります。精神疾患
を持つ患者さんの責任能力や人権についても様ざまな議論があります。言論や表現
の自由を、反対に規制や自粛を求める主張も高まるでしょう。しかし、そのような意見
の違いはあるのが当然とはいえ、裁判が長引けば長引くほどその間、被害者の方や
犠牲者のご遺族の方、京アニさんの関係者の方々、そして裁判員を務められる方々
をも尚更傷つけ憔悴させてしまう心配があります。私たちもそうなってしまいそうです。
重篤の容疑者は麻酔で眠ったまま意識不明の状態だと報じられていますが、いっそ
夢の中だけでも改心して、生まれ変わってくれれば良いのにとさえ思ってしまいます。
(睡眠や医療で犯罪者を更生できるとしても、それも議論の対象になりそうですが。)
やけどを負われた被害者の方々は、これから先苦痛と戦いながらの長い治療が続く
のではないかと不安です。容疑者の男に対し同じように「高度な治療」が医療スタッフ
の方々のご努力で懸命に施される意味を、どうすれば本人に解らせることができるの
でしょうか? 命を救うことの意味がこれほど極端に分かれる医療現場はないでしょう。

そのようにいろいろなことを考えてしまうくらい、
世界中を巻き込んだ、辛く悲しい事件だと感じています。

いま一度、お亡くなりになられた方々のご冥福と、
お怪我をされた方々の少しでも早い回復を、心からお祈り申し上げます。

ここで、公開日が偶然にも事件直後と重なってしまった
新作アニメ映画『天気の子』の監督、新海誠さんの、
今回の事件を受けてのニュースサイトでのメッセージをご紹介したいと思います。

 関連リンク)
  『朝日新聞デジタル』 2019年7月19日7時49分付記事
  新海誠監督「ひるむことなく作り続ける」 京アニ思い
  https://www.asahi.com/articles/ASM7M1F8GM7LPTFC017.html
19日午前0時にスタートした「天気の子」の「世界最速上映」、その東京会場であるTOHOシネマズ新宿では上映終了後、気づかれないようこっそり観客席で見ていた新海誠監督がサプライズ登壇し、拍手と歓声を浴びた。
〔中略〕
新海監督は18日に起こった京都アニメーション放火事件に触れ、あいさつを締めくくった。
「同じ業界にいて、一枚でもいい絵を描いて、お客さんに楽しんでもらいたいと思って僕らはやっています。だからいま皆さんにお願いしたいのは、映画を楽しんでいただきたいということ。僕らはみんな、同じ船に乗っている仲間です。ひるむことなく作り続けていくことが、僕らにとって幸せなことであり、そうすべきことなんじゃないかなと思っています」
〔後略〕

出典)上記、『朝日新聞デジタル』 2019年7月19日付記事より抜粋。

もう一つの記事です。

 関連リンク)
  『スポニチ Sponichi Annex 芸能』 2019年7月19日18時21分付記事
  新海誠監督 京アニ事件に「とても、いたましい事件」
  https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/07/19/kiji/20190719s00041000293000c.html
 新海誠監督(46)の3年ぶりの新作アニメ「天気の子」が19日、公開初日を迎え、声優陣らと都内で舞台あいさつに登壇。18日に京都市内で発生したアニメ制作会社「京都アニメーション」の放火事件について触れ、「とても、いたましい事件」と言及した。
 30分間ほど新作について和やかに語った終了間際に、司会者から「最後にメッセージをお願いします」と求められると、新海監督は沈痛な表情に一変。「ちょうど公開の前に、とても、いたましい事件もありまして、どういう気持ちで初日に臨んだら良いのかなと思ったりもしていたんですけども…」と語り出した。
 そして「ここで、みなさんのお顔を見ることが出来て、やはり僕たちの仕事というのは、どういうことがあったとしてもエンターテインメントを作って表現することで自分たちや誰かを傷つける可能性もゼロではないけれど、怯(ひる)まずに、それをやり続けていくことが自分たちの役目であり、一番やりたいことなんだなと改めて思いました」と強調。新作も「楽しい映画を作ったつもりです。青空になるような映画を作ったつもりです」と結んだ。

この日午前中にも日本テレビ「スッキリ」(月〜金曜前8・00)でも「何かを代表して話す立場にない」とした上で、「(犠牲者は)お客さんに喜んでほしくて一枚でもよい絵を、少しでも美しい絵を描きたいと技を磨いてきた人たちだと思う。あまりにも理不尽」とコメント。「表現することにリスクがあるのだとしても、怯まずにエンターテインメントを作って、差し出してみていただき、笑顔になっていただいたり、お叱りを受けることがあっても、作品で返すことを繰り返すしかない。怯まずに作り続けるしかない」と語っていた。

〔後略〕

出典)上記、『スポニチ Sponichi Annex 芸能』
    2019年7月19日付記事より抜粋。

「何かを代表して話す立場にない」と、
新海誠監督は上記のインタビューで謙虚にお話しされていますが、
新作映画の公開日が事件直後でなければ、
ほかのアニメ関係者の方々と同じようにコメントを差し控えることも
できる立場でいらっしゃったと思います。

ところが、新作公開に合わせたイベントの、
直前の準備の最中に事件の一報が届いたため、
悲しみを隠して、被害者の方々の代弁をせずにいられなくなられたのでしょう。
大変なプレッシャーだったと思うのですが、その役目を感情的になることなく、
理性的に、かつ献身的に果たしてくださいました。

こうした巡り合わせも、何かの運命なのでしょうか?

犯行が単独犯かどうかも判明しない中での事件直後のイベントは、
模倣犯への警戒も含め、慎重に考慮した上で開催の決定をされたことと思います。
観客の想いにも配慮した、プロフェッショナルのお仕事そのものだと思いました。

ご参考として、事件については触れられていませんが、
新海誠監督の次のインタビュー記事もご紹介したいと思います(取材日は不明です)。
前作『君の名は。』について批判した人を『天気の子』でもっと怒らせたいとの趣旨です。

 関連リンク)
  『Yahoo!ニュース』 2019年7月21日7時0分付記事
  独占インタビュー!
  『天気の子』新海誠監督、「君の名は。」批判した人をもっと怒らせたい
  (サンケイスポーツ)
  https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190721-00000026-sanspo-movi
〔前略〕
 「『君の名は。』は災害をなかったことにする映画だという意見をいただいた。僕は災害が起きるであろう未来を変えようとする映画、あなたが生きていたら良かったのにという強い願いを形にした映画を作ったつもりだった。でも代償なしに死者を蘇らせる映画だとも言われて…。どんどん広がっていき、本来なら見るはずがなかった人たちが映画を見て、結果、出てきた言葉だと思う」
 今作は最初から注目を集めている。「君の名は。」を批判した観客も見るだろう。
 「彼らが怒らない映画を作るべきか否かを考えたとき、僕は、あの人たちをもっと怒らせる映画を作りたいなと。人が何かに対して怒るのはすごく強いエネルギーが必要で、『君の名は。』は少なくとも何かを動かしたわけです。そういう気持ちが『天気の子』の発想につながっていった」
 主人公の帆高は、最後に、大きな決断をする。
 「ずっと窮屈だなと思っている少年が、誰も言ってくれない、政治家も報道も教科書も先生も言ってくれない言葉を叫ぶんです」
 帆高が叫んだ言葉は、彼の決断は、再び賛否両論を呼ぶかもしれない。それでも「観客がいろいろな意見をぶつけ合ってくれたら幸せに思います」。新海監督の口調は、自信に満ちていた。

出典)上記、『Yahoo!ニュース』 2019年7月21日付記事より抜粋。

腹の据わった、と言いますか、
私も敬愛する新海誠監督がいよいよ
観衆の前に本性を現すときがきたのだな、と感じました。

表現することのリスクは覚悟の上で
怯まず作品を作り続け、
怒りをぶつけられて本望だという制作者、表現者は
この世界に果たしてどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

これまでにも、制作や表現をする立場であるが故に、大切なファンからも
命を狙われたり傷つけられたりした人は世界中にたくさんいらっしゃいます。
そのことを決して忘れてはいけないのだということを、私はあらためて思いました。

▽「やくしまるえつこ『放課後ディストラクション』360°MV」 スクリーンショットより。
 テレビアニメ『ハイスコアガール』(アニメーション制作はJ.C.STAFF)エンディング
 主題歌です。歌詞の中に「ジョンレノンは殺されたの」とあります。同じアーティスト
 として意識することを拒めない、永遠に終わらない事件なのかもしれません。
 (画像は本文とは直接関係ありません。)
190720_AfterSchoolDi(e)stra(u)ction.JPG
 (c)MIRAI records - 相対性理論 / やくしまるえつこ [Official]

 関連動画リンク)
  やくしまるえつこ『放課後ディストラクション』360°MV
  Yakushimaru Etsuko - AfterSchoolDi(e)stra(u)ction (公式)
   (2019年3月29日 に公開)



2019年8月18日17時00分追記)

まったくの偶然なのですが、上記の、
「やくしまるえつこ『放課後ディストラクション』360°MV」スクリーンショット画像にある
歌詞の中の「ジョンレノンは殺されたの」と新海誠監督の新作アニメ映画『天気の子』
との間に意外な共通点があったことを次の『現代ビジネス』2019年8月17日付記事
で知りました。直上の本ブログ記事文中との関連性がありますので、(追記)ですが、
あえてこの場所に挿入したいと思います。

専修大学教授の河野真太郎先生が、たいへん興味深い記事を
昨日、2019年8月17日付『現代ビジネス』(講談社公式サイト)に執筆されています。
(少し難解なように感じられるかもしれませんが。)

新海誠監督は、J. D. サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』の愛読者でいらっしゃる
そうです。実は同じ作品を、上記のジョン・レノン殺害事件の犯人、マーク・チャップマン
(無期懲役で服役中)も、事件後現場から逃走せず、警官の到着まで読んでいたという
のです。どちらの事実も、私は今日初めて知り驚きました。『ライ麦畑でつかまえて』の
愛読者の間では有名な話だそうですので、新海誠監督ご自身もこのことは多分ご存じ
だったことと、私は想像しています(ジョン・レノンの殺害 - Wikipedia)。

映画『天気の子』の作中で、J. D. サリンジャーの青春小説『ライ麦畑でつかまえて』は、
映画の主人公の家出少年、森嶋帆高の愛読書として描かれているそうです。現時点で、
私はまだ残念なことに『天気の子』を鑑賞できていません。なので映画の内容に関する
コメントは、控えさせていただこうと思います。

 ご参考リンク)
  『現代ビジネス』 2019年8月17日付記事 (講談社公式サイト)
  『天気の子』主人公が「村上春樹訳のサリンジャー」を読んでいる理由
  「ライ麦畑のキャッチャー」と帆高の差
  (専修大学教授 河野真太郎)
  https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66548
〔前略〕

 「きみを守る」か「世界を守る」かの二者択一

〔中略〕

 そこで、この作品が、「二人か、社会か」という二者択一しか提示し得なかったことと、ミソジニー的な感性を超えられないでいるように見えること、この二つに同時に関わる作品の細部に注目してみたい。それは、帆高が携えて読んでいる、J. D. サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』、正確には村上春樹による翻訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の存在である。

 セカイ系としての『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

 本稿ではもともと、村上春樹と新海誠、もしくはセカイ系一般との関係を論じることを企図していたが、今回は紙幅の関係で断念せざるを得ない。

 陽菜が「100パーセントの晴れ女」であることと、村上春樹の短編「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」は関係が深いだろうし、この短編は『君の名は。』を想起させ、またセカイ系的なミソジニーを感じさせる作品である(この短編の影響については『ジャパン・タイムズ』でのインタビューで新海監督自身が認めている。また、同インタビューでは、『天気の子』には『海辺のカフカ』の影響があることを認めている)。

 また、村上春樹および新海誠における男性性と消費者としての主体という主題も興味深い。だが、こういった主題については別論するとして、ここでは、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』のみに議論を絞りたい。

 『天気の子』に『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(以下『キャッチャー』)が描き込まれていることには、二つの単純な説明ができる。『キャッチャー』は、主人公の高校生ホールデン・コールフィールドが放校処分となって社会からの逸脱と彷徨を経験する青春物語であり、家出少年である帆高が読むにはぴったりだということ。もうひとつは、上記の通り、新海監督が村上に大きな影響を受けていることだ。

 上記のような表面的でわかりやすいつながりを超えて、『キャッチャー』と『天気の子』は、セカイ系的な感性において共有するものがある。1951年にアメリカで出版された『キャッチャー』とセカイ系をつなぐというのは時代錯誤的に思われるかもしれない。

 しかしここで真剣に考えたいのは、戦後アメリカのある種の個人主義とリベラリズムが、セカイ系の背景となっている新自由主義を準備した部分があるということだ。逆に言えば、セカイ系的な感性はそれほどに根深い。作品に社会問題をちりばめたら乗り越えられるといったものではないのだ。

 『キャッチャー』の主人公ホールデンは、学校を否定し、社会を否定し(またそれらに否定され)、そういったものからひたすらに逃走しながら、「自己」を探究する。このような物語と態度を持つ『キャッチャー』は、一種の反体制的な文化のバイブルとなった。それが極端な形で表れてしまったのが、ジョン・レノンを射殺したマーク・チャップマンやロナルド・レーガン大統領の暗殺未遂をしたジョン・ヒンクリーが『キャッチャー』の愛読者だったという事実である。

 こういった事件が示すのは、『キャッチャー』が訴えるのが、系統立った反体制思想というよりは、とにかく社会や制度を否定する破れかぶれのアナーキズムかもしれないということである。

 ところが、そのようなアナーキズムは、いまや社会の中心に入りこんでしまったように見える。なんであれ社会的なつながりを「既得権益」「抵抗勢力」といった名の下に破壊しようとする新自由主義社会において。セカイ系的な感性は、その延長線上にある。

〔後略〕

出典)上記、『現代ビジネス』 2019年8月17日付記事より抜粋。
   (太字は原文のまま)
引用が少し長くなりましたことをまず、お詫び申し上げます。
途中を省略すると原文の意味が損なわれる心配がありましたので何卒お許しください。

新海誠監督の新作アニメ映画『天気の子』。
映画の主人公の愛読書、J. D. サリンジャーの青春小説『ライ麦畑でつかまえて』。
ジョン・レノン殺害事件の犯人、マーク・チャップマンも同じ作品の愛読者であったこと。
そして、偶然にも『天気の子』公開13時間半前に起きた
今回の京都アニメーションさんの放火事件の容疑者の男も以前、
自作の小説を同社へ応募していたということ。

それぞれに直接の関連性があるわけではないと思いますが、
何らかのつながりが全然ないとも、感じないではいられません。

なお、『天気の子』のストーリーは映画のための監督自らのオリジナルで事前の試写
会も行われていませんが、監督執筆の原作小説は2019年7月18日に書店で発売
されていますので、映画公開直前に待ちきれず本を手に取った人は意外と多かった
のではないかと想像します。

私は観ていて意識していなかったのですが映画公開前の2019年7月2日の時点で
主人公の家出少年、森嶋帆高の愛読書がサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』で
あることは、「YouTube」公開の「映画『天気の子』スペシャル予報」でも映し出されて
いました。分かる人は一目で、監督の意図を見抜いていたことでしょうね。

▽映画『天気の子』スペシャル予報(2019年7月2日に公開) スクリーンショットより。
 主人公の家出少年、森嶋帆高と彼の愛読書、
 J. D. サリンジャーの青春小説『ライ麦畑でつかまえて』(村上春樹 訳)、
 原題は『The Catcher in the Rye(キャッチャー・イン・ザ・ライ)』が
 映し出されています(本の下のカップめんは、スポンサーの日清さんの製品です)。
190702_tenkinoko_01.JPG
190702_tenkinoko_02.JPG
 (c)『天気の子』製作委員会/東宝MOVIEチャンネル

 関連動画リンク)
  映画『天気の子』スペシャル予報 - YouTube (公式)
   (2019年7月2日 に公開)

2019年8月22日16時30分追記)

 ご参考リンク)
  『Yahoo!ニュース』 2019年8月21日 18:00 付記事
  新海誠『天気の子』インタビュー
  「最悪の現状肯定」ととられる危険があるのは知っていた(KAI-YOU.net)
  https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190821-00010003-kaiyou-ent

*コメントは、当ブログ2019年8月18日付記事を併せてご覧ください。



2019年7月22日10時30分追記)

国際政治学者の六辻彰二先生が、たいへん興味深い記事を
今朝の『Yahoo!ニュース』に執筆されています。皆さまはどうお考えになりますか?

 ご参考リンク)
  『Yahoo!ニュース』 2018年7月22日8時0分付記事
  京アニ事件は「美への憎悪」か
  ―大量殺人をともなう芸術破壊の特異さ(六辻彰二) - 個人 -
  https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20190722-00135103/
〔前略〕
 イギリスのアニメ評論家イアン・ウルフ氏は京アニ作品を「観る人にとてもやさしい」と評する。
 これに対して、報道によると、青葉容疑者は生活保護を受け、精神疾患を患っていただけでなく、コンビニ強盗の前科をもつ。さらに近隣住民との騒音トラブルで相手を「殺すぞ」と恫喝するなど、およそ京アニ作品とかけ離れた人物像のようだ。
 とはいえ、「小説がパクられた」という認識がある以上、少なくとも青葉容疑者が京アニ作品を知っていたことは間違いない。ところで、社会生活がうまくいかず、さまざまなコンプレックスを抱えた人間にとって、京アニの細緻かつ鮮やかな作画で描き出される穏やかな日常や温かい人間関係は眩しく、できればそうありたいと思わせたと想像しても無理はない。
 ところが、それが自分には実現不可能と確信した時、美しいものはかえって憎しみの対象にもなり得る。それは1950年の金閣寺放火事件を題材にした三島由紀夫の『金閣寺』で描かれる倒錯に近いかもしれない。
 だとすれば、美しいがゆえに京アニは憎悪されたことになる。その場合、特定の作品や社長などの個人ではなく、京アニの世界観や会社全体が狙われたともいえる。
〔後略〕

出典)上記、『Yahoo!ニュース』 2018年7月22日付記事より抜粋。
   (太字は原文のまま)

「美しいものはかえって憎しみの対象にもなり得る」
美しいがゆえに京アニは憎悪されたことになる」(原文も太字で掲載)と、
先述の私の記事よりもはるかにストレートな書き方をされていらっしゃいましたので
少しショックは受けたのですが、私の「すべての登場人物の生き方が、迷いや悩み、
葛藤をかかえながらも肯定されて行く。とても残念なことですが、容疑者の男にとっ
ては、その何もかもが抹殺の対象だったのかもしれません」と、ほぼ同義なのかな、
と思いました。

2019年7月23日15時00分追記)

本物の真似をした偽物など、いわゆる出版物でよく言う「海賊版」などもそうですが、
通常、すでに発表され評価を得ている小説の盗作なら、被害者は著作権料の損害
賠償を求め、示談か裁判で解決を図ろうとします。ところが、例えば、途中で執筆を
断念し放棄した未完の小説の原稿を何者かに拾われるなどして発表されてしまった
場合、盗作された作者の精神的ダメージは計り知れないものがあります。その小説
をライフワークにすべく発表し直そうとしていたら、そのチャンスを未来永劫奪われる
ことになってしまいます。さらに、構想を練るための取材や調査を長年積み重ねてき
たとしたら、それまでの人生まで徒労に帰すことにもなってしまいます。財産権として
の著作権料は未完成の未発表作品の場合、高く評価されにくいばかりか、人格権と
しての著作権の侵害は、裁判ではなかなか解決が難しい問題なのです。そのため、
盗作された被害者は生きる希望まで失くしてしまうこともありえます。だからと言って、
いかなる不正や犯罪行為も正当化できる理由にはなりません。

 ご参考記事)・・・歌手の沢田知可子さんと作詞家の沢ちひろさんとの和解のこと。
  当ブログ『想い出を未来へ運ぶ始発駅*安瑠芭夢驛』
  2017年10月20日付記事
  「USEN」さんの店内音楽放送で先日流れてきた美しい歌声2曲に寄せて、
  の続きになります
  http://poppop.sblo.jp/article/181321066.html

 ご参考記事)・・・ご説明はスペースの関係で割愛させていただきます。
  当ブログ『想い出を未来へ運ぶ始発駅*安瑠芭夢驛』
  2018年8月31日付記事
  生れて墨ませんべい
  http://poppop.sblo.jp/article/184313738.html

2019年7月22日20時30分追記)

私は精神科の知識はないので、容疑者の男の精神疾患がどのようなものなのかは
知るよしもありません。ただ、妄想らしき症状はうかがえることからまさかとは思うの
ですが、男にとっての自作の小説とは“人生設計”そのもので、それをアニメの登場
人物たちに盗まれるかのごとく盗作されてしまうため、自分は満足な生活ができない
でいるのだと妄想してしまっているのではないでしょうか(言うなれば“人生泥棒”?)。
京アニさんがアニメの原作として小説を公募していることから、男は本来ならあった
はずだと妄想している自身の“人生設計”のことを自分が作った小説だと言い表して
いるだけかもしれません。実際男に小説を書く趣味があったかは分かっていません。
仮に取り調べで、アニメ作品のどの部分に自作小説が盗作されたかを問われれば、
そのような記憶までも盗まれてしまったので思い出せないと答えるかもしれません。
あまりにも現実離れした妄想ではあるのですが、もちろんこれも憶測に過ぎません。
思考を他者に盗聴される妄想を抱く精神疾患もあるそうですが、こればかりは専門
の医師が慎重に診断しなければ解らないことです。

自らすすんで精神疾患にかかる人などいないと思います。すべての人が心身ともに
健康に生まれて生涯を全うすることも、もともとできないと思います。分かっています。
創作や表現で救われたり満たされたりする人もいれば、そうではない人がいることも。
そうした現実をぜんぶ受け入れ責任を負うことが私たち人間社会の掟だということも。

いずれにしても、
有効な自衛策を考え始めると、想定される事態が多過ぎてきりがないように感じます。
ほんとうに、事件に遭われた京アニの皆さまが報われません。
そして、容疑者に精神疾患があったとして
その病気が最新医学で回復できたとしたら、被害者やその関係者の方々にとっても、
容疑者自身にとっても、私たちにとってもこの悲劇は一層深刻さを増しそうに感じます。
おそらく、そうなるような気がします。

あらためて、
重篤の容疑者は麻酔で眠ったまま意識不明の状態だと報じられていますが、いっそ
夢の中だけでも改心して、生まれ変わってくれれば良いのにとさえ思ってしまいます。
(睡眠や医療で犯罪者を更生できるとしても、それも議論の対象になりそうですが。)
やけどを負われた被害者の方々は、これから先苦痛と戦いながらの長い治療が続く
のではないかと不安です。容疑者の男に対し同じように「高度な治療」が医療スタッフ
の方々のご努力で懸命に施される意味を、どうすれば本人に解らせることができるの
でしょうか? 命を救うことの意味がこれほど極端に分かれる医療現場はないでしょう。
創作や表現で救われたり満たされたりする人もいれば、そうではない人がいることも、
すべてを知らされた上で、助かった京アニスタッフの皆さまはいつかまた創作や表現
の現場へと復帰されることと信じています。それがどれほどの苦悩を伴う行いなのか、
私たちにはとても知ることはできないと思いますがそれでも、私たちは待ってますから。

2019年7月31日0時30分追記)

京都アニメーションの皆さまに敬意を込めて。
私の好きな作品の好きなシーンをご紹介させてください。
『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』です。


 2019年8月27日18時20分 補足とお礼

 
私自身、母校では写真表現や芸術全般を専攻していましたので、制作者側の立場
 で色々と考えてしまうことがあります。本来、映像作品は実際に上映した動きのある

 映像を鑑賞するもので、その中の特定のコマだけを抜き出し静止画として鑑賞する
 ものではありません。制作者側が資料として、あるいは宣伝や広報のため、出版物
 やWEBサイト、ポスター、パンフレット、関連グッズなどに掲載する場合は別ですが、
 第三者が任意で選んだ予告映像のスクリーンショットを関係者に無断でネット上に
 公開することは、著作権法上許容される範囲内での引用ではあっても、慎んだ方が
 良いと認識はしています。まして、スタッフの皆さまが協同作業で一場面ずつ丹念に
 手作業で描くアニメーション作品であればなおのことです。本作のキャラクターデザ
 イン担当者の方は登場人物の細かな動きまで計算に入れてお仕事をされましたし、

 総作画監督も務められたとお伺いしています。その貴重なお仕事の一部をここに、
 このような形で掲載されることは表現する側として不本意かと存じますし、私自身も
 後ろめたさは感じています。今は、このような素敵なアニメーション作品を世に送り
 出してくださったことに、心からお礼申し上げたいと思います。どうもありがとうござ
 います。そして私の我が儘をお許しいただけたら。何もできず本当にごめんなさい。


▽『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』予告映像より。
 TVシリーズのエンディングにも用いられた本作中でも特に好きな演奏シーンです。
 原作の物語ももちろん良いですが平穏な日常風景をこれほど丁寧に愛しく描いた
 作品は貴重です。確か私にとっても高校時代、放課後は豊かで特別な時間でした。
 川風の心地良さまで伝わってきます。
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 (c)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会/京都アニメーション

 関連リンク)
  『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』公式サイト
  http://movie2.anime-eupho.com/

私の高校時代の部活は、
光画部(かの、ゆうきまさみさん原作の人気コミック『究極超人あ〜る』のモチーフに
なった写真部です)と鉄道研究部(私は「青春18きっぷ」で乗り鉄派でした)との兼部
でした。それと、同級生たちが主催する漫画やイラストの同人会にも参加し、漫画や
イラストらしき作品も自己流で描いていました。鉄道研究部の新入部員募集ポスター
も描きましたが、それは飛び交うユリカモメを背景に少女が時刻表を抱いて佇む絵で、
今思えば京アニさんの作品の影響を強く受けていたのかもしれません。漫画は未完
のまま挫折しましたが、設定では貧乏探偵事務所が舞台のオカルトもので、ヒロイン
は知的な家出少女の眼鏡っ娘でした。こちらも『響け!ユーフォニアム』の田中先輩
(上のスクリーンショットを参照)の丸写しだったかもしれません。そのヒロインを題材
に、パラパラ漫画(原始的なアニメーション)を描いたこともありました。同人会では、
コピー印刷でイラスト入りのカレンダーも何度か制作しました。私のイラストはすべて
新海誠監督の作品世界へのオマージュでした。特に初期の『雲のむこう約束の場所』
や『秒速5センチメートル』の影響が強かったと思います。われながら、いずれの自作
の漫画(未完でしたが)、イラストとも、みなそれなりに好評だったように覚えています。

嘘でしょ?

だってさ、

年いくつ?

1980年代の話しなら、当時の流行を全然無視してはいませんか?

でも、何だか、私より若い方々の才能やセンスが嬉しいです。だから今は悲しいです。

7月29日付「読売新聞オンライン」記事によると、
「デジタル化された原画などのデータが無事」焼失を免れたサーバーから回収できた
そうです。遺された作品を見るのが辛いと感じる方もいらっしゃると思いますので感想
は控えたいと思います。

 関連リンク)
  『読売新聞オンライン』 2019年7月29日付記事
  犠牲者の成果そのもの…京アニ原画、サーバーから回収 : 国内 : 
京都アニメーションは29日、第1スタジオ1階に設置されていたデータサーバーに、デジタル化された原画などのデータが無事に保存されていたと明らかにした。同社側は、データについて「亡くなられた人の成果そのもの」とし、今後の会社再建に役立てていくとしている。
〔中略〕
関係者によると、同社では、原画や動画はほぼ手描きし、その後、スキャナーで読み込んでパソコン上で着色したり、背景と合成したりしていたという。
〔後略〕

出典)上記、『読売新聞オンライン』 2019年7月29日付記事より抜粋。

続いてのニュースです。このブログ記事の最初の方にも追記しましたが、
2019年7月30日、京アニさんで再調査した結果、容疑者の男の本名での作品応募
があったことが判明したと報じられました。実際に容疑者本人の応募かどうかは確定
していないそうです。

 関連リンク) 2019年7月30日追記
  『日本経済新聞』 2019年7月30日 19:21 付記事
  京アニ放火事件 容疑者と同姓同名人物から小説の応募
〔前略〕

容疑者は身柄確保時に「小説を盗まれたから放火した」という趣旨の話をしていた。

京都府警は、同容疑者が京アニに一方的な恨みを募らせて犯行に及んだとの見方を強めており、動機など事件の解明につながる可能性が出てきた。

京アニは一般から小説を募集しており、賞に入選した作品を同社が文庫化したりアニメ化したりしてきた。代理人弁護士によると、応募した人物は同社の形式面に関する1次審査を通過していなかった。このため、社内で情報が共有されていなかったという。

〔中略〕

府警は同容疑者の自宅アパートの捜索で京アニ関連のグッズのほか、原稿用紙も押収。今後、小説の応募との関連を調べるとみられる。

〔後略〕

出典)上記、『日本経済新聞』 2019年7月30日付記事より抜粋。

京アニさんの作品に対する制作姿勢は、できるだけ多くの観客の方々の希望や願い
を代弁しお互いにシェアしていくことを常に心がけていらっしゃったように感じられます。
仮に容疑者の応募作品との類似点が偶然あったとしても不思議ではないと思います。
もちろん、そのことも含め京アニさんの制作姿勢に一切罪はないはずです。

2019年7月31日19時30分追記)

容疑者の自宅で原稿用紙が押収されたとも報じられていますが、京アニさんの公式
サイトの募集要項によると応募原稿は「返却いたしません」と明記されています。また
応募前に同社サイトからの「エントリー登録」も必要とのことです。本当に容疑者本人
が作品原稿を送付したとして、仮に事前の「エントリー登録」に不備があれば1次審査
を通過できませんし、過去の応募者のデータを検索しただけではすぐに確認できない
ことも説明がつきます。まさかとは思いますが「小説を盗まれた」というのは応募原稿
が返却されないことを指しているのでしょうか? 容疑者の動機が全く理解できません。
苦労が詰まった手書きの原稿なら「原本が必要な場合は必ずコピーをお送りください」
とも、京アニさんの公式サイトには明記されているのです。これまでの報道では確か、
「盗まれた」、「パクられた」という趣旨の話しをしていたという証言は聞かれるものの、
「真似された」、「盗作された」、「無断で使用された」、「著作権侵害だ」などの趣旨の
話しは、私の記憶が正しければでは記事中の(取材者の)解釈でしか聞かれていない
ように思います。あるいは、容疑者は普段からそのような言葉の表現は用いない人物
というだけのことなのかもしれませんが。

これまでにもアーティストやクリエイターなど、制作や表現をする立場であるが故に、
大切なファンからもストーカー行為を受けたり、命を狙われたり傷つけられたりした人
は世界中にたくさんいらっしゃいます。また、盗作されたという被害妄想、書いたことの
ない小説を実際に応募したという妄想、フィクションである作品世界と現実の世界とを
混同してしまう妄想、人生を奪われたという妄想、強い劣等感に襲われる妄想、思考
を盗聴されたという妄想などがあるなら、それらはある種の精神疾患を疑わせます。
しかし、応募原稿が返却されないから「小説を盗まれた」と凶悪な犯行に及んだとした
ら、上述してきたこととは全く性質が異なる事件になると考えられます。京アニさんの
公式サイトには、以前から脅迫めいた投稿があったとのことですが、警察側は容疑者
との関連性は低いとみなしているそうなのですが。

2019年8月1日11時30分追記)

京アニさんの公式サイト以外にも、ネット上の掲示板などに、今回の事件との関連を
うかがわせる投稿が以前からあったことが報じられ始めました。

 関連リンク)
  『産経ニュース』 2019年7月31日 19:09付記事
  ネットに「原稿叩き落とす」 昨秋に書き込み集中、京アニ火災関連捜査
〔前略〕

書き込みは昨年秋に集中。京アニの名前を出し、「爆発物もって京アニ突っ込む」や「思考盗聴まで行ってアイデアをパクる」「原稿叩き落として裏切ること」などの書き込みもあった。

〔後略〕

出典)上記、『産経ニュース』 2019年7月31日 19:09付記事より抜粋。

 関連リンク)
  『日本経済新聞』 2019年8月1日 9:44付記事
  「爆発物持って突っ込む」 ネット掲示板に、京アニ放火
〔前略〕

サイトには「京アニに裏切られた」「アイデアをパクる貴様らだけは絶対に許さん」などとの投稿があった。同社の人気アニメ「けいおん!」を引き合いに「一番初めパクりを目にしたのはけいおんの映画だった」との書き込みもあった。

青葉容疑者と同姓同名の人物が京アニに作品を投稿し、落選していたことが既に判明。捜査関係者によると、同容疑者は身柄確保時に「小説を盗まれたから放火した」という趣旨の話をした。

〔後略〕

出典)上記、『産経ニュース』 2019年7月31日 19:09付記事より抜粋。

「原稿叩き落として裏切ること」をされたのにその原稿が返却されないから「小説を
盗まれた」、「思考盗聴まで行ってアイデアをパクる」? もう、訳が分かりません。

2019年8月1日12時30分追記)

精神疾患といっても病名や症状は様々で保健体育の授業で教わる範囲ではとても
十分な理解が得られるようには思えません。テストで100点取っても足りないです。
それより入試に出る問題の勉強で手一杯。職場や学校などでも定期的に健康診断
は行われていますが、心の健康診断については専門医が不足しているのか偏見が
多いのか、そもそも情報が足りないためなのか、社会全体に抵抗感があるようです。

精神疾患の疑いがある人を医療機関へ強制的に通院、入院させたりすることには、
以前から様々な議論があるようです。しかし、その問題の本質は専門医でなければ
分かりにくいことばかりです。専門医の方々の大多数の意見は、患者さんの意志で
自ら受診するよう周囲が促すべきで、強制は患者さんと医療機関との信頼関係が
損われて治療が困難になるということを、一般の方々ももっと良く理解して欲しい、と
いうことのようです。私は患者さんの治療を受ける権利が十分に活かされることこそ
何より大事
だと思うのですが。

医療機関(病院)のクライアントはまず、診断や治療を求める患者さん本人で、その
協力をすることが医療従事者の方々のお仕事です。同時に社会もまた医療機関を
必要としています。医療法で定める公的病院(公的医療機関)か民間病院かの違い
を問わず、そこで働いていらっしゃる医療従事者の方々にとってご自身のお仕事が
目の前の患者さんを救うことか社会全体に貢献することかはとても重要な課題です。
両者はときに同義でもあるし、ときに複雑な利害関係や矛盾を含む場合もあります。
純粋に学問の分野での医学者としての立場と、国の制度に準じた医療機関の運営
責任者(つまり経営者)としての立場、医療従事者としての立場とが、1人の専門医
の方の中で同時に成り立つことから議論が分かりにくくなってしまうように思えます。

私が直接知っている方で、気分が優れないことから民間のメンタルクリニックを受診
し、統合失調症の診断を受けた方がいらっしゃいます。幸い、主治医の先生が相談
しやすい方で、ご本人に合った適切な治療を受けられたことと、さらに縁あって理解
のある方と結婚できたこともあって、今では症状も治まり平穏な日常生活を過ごされ
ています。治療法の選択肢は、これからも新しく広がっていくことを期待しています。

精神疾患の医療機関の選び方に関する、厚生労働省の公式サイトをご紹介します。

 関連リンク)
  みんなのメンタルヘルス総合サイト|厚生労働省(公式)
  https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
  医療機関の選び方|みんなのメンタルヘルス総合サイト|厚生労働省(公式)
治療や生活に役立つ情報

 医療や医療機関について 医療機関の選び方

〔中略〕

精神科、神経科、精神神経科、心療内科、神経内科の違いは? 
医療機関の看板に書かれている診療科目名がいろいろなので、
迷いやすいですね。

 精神科、神経科、精神神経科

「精神科」、「神経科」、「精神神経科」は同じものです。どれかが書いてある場合や、併記してある場合は、「うつ病」「統合失調症」「神経症性障害」などのこころの病気を診ている、精神科の医療機関と考えて間違いありません。 

 心療内科

「心療内科」は心理的な要因で身体の症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる、いわゆる「心身症」を主な対象としています。 しかし、「心療内科」と看板に書いてあっても、実際にはこころの病気を診ている医療機関がたくさんあります。ただし、こころの病気を全て診るわけではなく、軽い「うつ病」や「神経症性障害」など一部のこころの病気しか診ないところもあります。 

 神経内科

「神経内科」は、パーキンソン病や脳梗塞、手足の麻痺や震えなど、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診る内科です。精神的な病気を主に診ているわけではありません。 しかし「神経内科」と看板に書いてあっても、実際にはこころの病気を含めて診ているところがあります。また、「認知症」や「てんかん」は、精神科でも神経内科でも診ています。 

 わからない場合は

看板に書かれている診療科目名がばらばらなのは、「精神科」と書かれていると受診するのに抵抗を感じる方が多いためです。最近は、上記以外にも「メンタルヘルス科」などが使われていることもあります。看板だけから判断しにくい場合は、直接に電話して、どんな病気を診ているのか確かめるか、インターネット等で予め調べることをお勧めします。また、各地の精神科病院協会や精神神経科診療所協会のホームページに、協会に加入している医療機関リストが掲載されている場合があります。

出典)上記、『厚生労働省(公式)『みんなのメンタルヘルス総合サイト』
    「医療機関の選び方」より抜粋。

2019年8月3日0時30分追記)

接骨院なら当店の近くに何軒も開院しているのですが、
メンタルクリニックはまだまだ少ない気がします。

実は、先にご紹介した統合失調症の経験をお持ちの私が直接知っている方は、
脚が不自由で接骨院にもよく通院されているそうです。

接骨院とメンタルクリニックとの兼業は、できないものでしょうか?
皆さまもご一緒に、心と体のマッサージ。

早めの受診が、もっとしやすくなって欲しい。
誰もが抵抗なく、自然に通院できるようになって欲しい。
一度受診したらそのことを当局から監視されるのではないか。また、
最悪、長期入院になるのではないかという不安を払しょくして欲しい。
今の私に言えることは、それくらいです。

何か起きてからでは遅いのです。
自身の罪に自覚のないまま厳罰を受けるような人が
この社会から少しでも早くなくなることを願っています。

2019年8月8日12時45分追記)

その後の、本日、2019年8月8日付のニュースです。
既に、今回の事件の容疑者にコンビニ強盗の前科があったことは報じられていました
が、当時の捜査段階で「過去にガソリンを使った放火を考えたと言及していたこと」が、
関係者への取材で新たに判明したそうです。

 関連リンク)
  『毎日新聞』 2019年8月8日 3時0分 付記事
  7年前、強盗捜査時「ガソリンで放火」言及 京アニ放火容疑者
京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで起きた放火殺人事件で、逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)が2012年に起こした強盗事件の捜査段階で、過去にガソリンを使った放火を考えたと言及していたことが、関係者への取材で判明した。服役後は福祉につなぐ国の「特別調整」の対象になり、埼玉県内の民間の更生保護施設に約半年間いたが、今回の事件が起き、再犯防止の難しさを示した。
〔後略〕

出典)上記、『毎日新聞』 2019年8月8日付記事より抜粋。

2012年のコンビニ強盗の際は、逃げられないと思った容疑者はすぐに自首しました。
その時点で放火の考えがあり、今回実行する際は凶器類を窃盗せず現金で購入して
いますから、心神喪失状態だったと思えません。「精神障害者保健福祉手帳」を持つ
者の異常な妄想に支配された犯行であろうと、罪や刑を逃れることはできないでしょう。
たとえ容疑者が妄想世界の住人だとしても、そのことは認識できるはずだと感じました。

 関連リンク)
  『日本経済新聞』 2019年8月7日 16:45 付記事
  京アニ社員「作品の質、落とさない」 喪失感抱え制作没頭
放火殺人事件で35人が死亡した京都アニメーションでは、今もスタッフが制作活動を続けている。事件は8日で発生から3週間。事件当日、現場となった京都市伏見区の第1スタジオから脱出した男性社員(52)は、腕に負った打撲が治らないうちから職場に復帰。喪失感を抱えながらも「クオリティーが落ちたと思われないように頑張ろう」と仕事に没頭している。
〔中略〕
かけがえのない仲間を失いながらも、現場は年末公開予定の映画制作を進めている。「自分は仕事をしている方が気持ちが楽。以前と変わらず作品をつくり続けることが、犯人に対する最大級の反撃になれば」。男性は言葉に力を込めた。[共同]

出典)上記、『日本経済新聞』 2019年8月7日付記事より抜粋。

容疑者の男は、
「京アニさんは無くなって誰も残っていないから、もう小説を盗まれることはない」
と告げてあげれば妄想世界から解放されて、また小説の自作を始めるのでしょうか?
現実の世界へも帰ることなく。

2019年8月27日17時30分追記)

京都府警捜査本部は本日、2019年8月27日、今回の事件で亡くなられた35人の
方々のうち未公表だった25人の方々の氏名を明らかにした、ということが報道機関
から報じられました。

先にご遺族のご理解が得られて葬儀もお済みの方々の氏名は公表されていますが、
犠牲者全員の氏名の公開、報道の必要性について、私個人は疑問を抱いています。
ご遺族の皆さまのご理解が本当に得られているのかも分かりませんので、私はまだ
知らない、ということにしておきたいと思っています。


*この記事は、当ブログ2019年8月18日付記事へ続きます。
posted by 安瑠芭夢驛(アルバムステーション) しゃしんのポップ at 17:30| 未分類